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『サヴァイヴィング ライフ 夢は第二の人生』(10年・チェコ) [映画(11年~)]

「フロイトやユングはこう言っています。私たちは無意識の力に操られていると。」

『サヴァイヴィング ライフ 夢は第二の人生』予告編 
http://www.youtube.com/watch?v=jiZq8E0OOQU

HP
http://survivinglife.jp/

物語解説は省いて。
年をとっても頑張るチェコのシュールレアリズムの鬼才、ヤン・シュヴァンクマイエルの最新作。
この人の作品を好きになるか嫌うかは極端になるかと思いますが私は好きです。物凄く気持ち悪いもの。

実は京都文化博物館でこのシュヴァンクマイエルの展示(後期)があったのですがそれを見に行って、この映画の公開を知ったのでした。展示会場ではこの作品のメイキング映像と予告の上映もやっていたので、ムクムクと気持ち悪見たさの好奇心が沸いたのでした。思わず十三の第七劇場に行くほどに。

冒頭監督自身が登場し、イントロダクションを述べるのですが、制作費もなく俳優の出演料を削って切り絵アニメ(写真の切り抜きコラージュ)で表現し、「これはコメディですが面白くありません。撮影も面白くありませんでした。」という。オールスタジオロケで撮影が行われた様子だが、この切り絵による実写アニメ(といっていいのか)の何とも言えない空間はワザとらしくて安っぽくとも実写のクローズアップと相まって妙な空間になっている。突拍子もなく登場する変なものにも笑いを誘う。人が夢を見る潜在的な心理を追求したサスペンスにも仕上がっているのだが気持ち悪さは健在だった。

その世界観というのも夢の中と現実が見事にゴチャゴチャしているが、最初境目が分かっていても観ているうちに分からなくなる。監督は暗い雰囲気の作品が多いのだが本作はさわやかな感じさえした。描き方については短編『男のゲーム』(88年)と似ている。77歳になっても好きに撮りたい作品ができている監督。あなたはアーティストだ。



映画の中で登場するクネドリーキはムチムチしてて飲み物がないと食べにくい位だぞ。グヤーシュはシチューの中でも美味しい。
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『コララインとボタンの魔女』(10年・米) [映画(11年~)]

「あんたはママじゃない。だってこんなところに…ボ…ボボボ…」
「ボタンのこと?」

コララインとボタンの魔女 スペシャル・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD


物語:殺風景な土地にあるピンクパレスという古いアパートに引っ越してきた両親と11歳の少女、コラライン。住み始めた頃から部屋の不可解な物に疑問を抱いていたが、ある日、壁紙で閉ざされた小さなドアを見つけ、そこを潜ってみると部屋の造りは同じだが全てが綺麗な世界が広がっていた。しかしその中にいた家族は皆ボタンの目をした不気味な人たちだった。

この作品の凄さはフルCGでないストップモーションアニメという事。それのどこが凄いというのか分からない人の為に、まず登場キャラの顔の輪郭や目が動くということに注目してほしい。私は映像制作の現場マガジン「映像+」(グラフィック社)の8号を持っているのだが、それに撮影の詳細が紹介されてある。
まず目は瞬きをするし、顔の輪郭もあごと一緒に動くこと。これはマグネットを利用したストップモーションアニメの限界に挑んだ緻密な表現の仕方。それまでクレイ(粘土)アニメのように簡単な表情に動きで演技させていたのに対して目、眉、口の動きに対応できるアニメになった。セリフを合わせる為に1コマ1コマ顔の輪郭を変えているのである。
特に海外のアニメーションは口の動きを特に注意深く合わせようとするのが普通とされている。ディズニーアニメの場合、俳優が実写で演じてアニメーターがその動きを忠実に再現しようとする。これだと実写と同じ1秒24コマのアニメ動画をつくっていることになるが、これはセル画の場合。ストップモーションアニメで人形を使ってこれを再現したというのはすごいことなのだ。(日本のテレビアニメの場合、極端にコマを減らして1秒8コマで動く。)

秒間24コマの動きに口、髪のなびき、服のしわの表現まで再現されてあるのだからどれだけ大変なことか。

さてこの監督は『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(凄くお勧め)の監督であるヘンリー・セリック。『ナイトメア~』では愉快なハロウィンのお化けたちが暮らすダークな世界を描いた。こちらもドアの向こうは全てが綺麗な魔法の世界だが、人が皆ボタンの目をした不気味な世界。この不気味な世界にこだわる監督の粋といったら惚れ惚れする。裁縫道具という個人的私物を秘めたアイテムの使い方や背景の美術の数々に観ていて唸る。映画のタイトルクレジットの最後で1カット合成前の映像が流れるが、その緻密さに驚いた。

海外アニメなので日本語吹き替かオリジナル音声で観るか迷うところ。私は吹替えで観ました。
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『カムイ外伝』(09年・松竹) [映画(11年~)]


カムイ外伝 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
  • メディア: DVD



出演: 松山ケンイチ, 小雪, 伊藤英明, 佐藤浩市, 小林薫
監督: 崔洋一


物語は省いて感想。

amazonレビューでも低評価だったのでどんなものかと観ましたが色々残念映画でした。これでも白土三平のファンなんです。原作も揃えて何度も読むくらいに。映画は「外伝」の第二部からの一遍「スガルの島」を映像化。

「変移抜刀霞斬り」「イズナ落とし」「カブト割」「千本」「鎖かたびら」とかファンなら楽しみにして観ていただろう魅力的なアイテムや術が登場するんだけど、なにかとチープです。冒頭戦闘シーンからしてう~んと唸って観ていた。合成技術とかどうなの?アクロバットなど、少し前の香港映画の方が映えて見える気がする。
キャラが強いのかどうかというのはものすごく重要なことだと思うんだけど、カムイ自身がそう強く見えない。抜け忍のスガルとの戦闘に子供の頃のカムイが参加していた話から始まって、その後にカムイの話が出てくるんです。忍の残酷な仕打ちや抜け忍の末路だとかの恐ろしく残虐な掟などがあまり伝わってこないんです。後、スガルも千本(鉄の串のような武器。)の使い手の忍で強いんだけどそれも伝わってこない。

松山ケンイチのカムイは何かと喋る。生まれから差別に苦しみ、忍びとしての孤独と殺伐とした逃亡生活を繰り返す孤高の忍のはずなのに。

殿さまの愛馬である足一本だけ白い「一白」(いちじろ)という馬を殺して、その白い足だけを奪って疑似餌を作る漁師の話が出てくるのだが、モンゴルの民話「スーホの白い馬」と少し話が似てるな~と思った。

何かと残念だが原作の良さはぜひとも読んで体験して欲しい作品です。原作は血潮みなぎる勧善懲悪を貫くアクションと海に生きる村民を描いた作品です。
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『カティンの森』(07年・ポーランド) [映画(11年~)]

「犠牲者の傍にいたいの 殺害者ではなく…」

カティンの森 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アルバトロス
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監督: アンジェイ・ワイダ

物語:1939年9月、ポーランドの苦難の歴史が始まる。1日のドイツ軍の侵攻と17日のソ連軍侵攻によりポーランドは分割。ソ連軍に包囲され降伏したポーランド軍将校とその妻の最後の別れがその時だった。消息のない将兵を戦中、戦後と待ち続けた妻とその家族の物語。

ソ連占領下のポーランドで起ったカティンの森事件を映画化。ドイツ軍、ソ連両軍の分割占領と独ソ戦、スターリン主義がポーランドを覆い尽くす戦後、反共産主義を貫く市民と共産化に追従した市民の亀裂を生んだポーランドの近代史を描いた大作である。この映画の冒頭、両親に捧げるとタイトルがあるが、アンジェイ・ワイダ監督の父親がこの事件の犠牲者だということだ。

ソ連軍の捕虜として移送された将兵を待つ妻とその家族はカティンの森でポーランド兵捕虜の虐殺事件を知ることになるが、ドイツ占領下ではソ連軍の仕業とされ、ソ連支配下ではドイツ軍の仕業というプロパガンダを聞かされていた。真相がハッキリしない中、戦後になり、ようやく遺留品が発掘調査される中で、生前の将兵が殺されるギリギリまで書いていた手帳の発見により、事件の全貌が明るみになる。ラスト事件の実態と無音のエンドタイトルで映画は終わるが、その後にも、暗くゾッとした気持ち悪さが続く。この映画に救いはまったくない。

ポーランド式の敬礼の仕方が独特で興味を持った。右手の指を伸ばしてオデコに当てるのは同じだが、人差し指と中指の二本で敬礼するらしい。
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『太陽を盗んだ男』(79年・東宝) [映画(11年~)]

「あの人は私たちに夢を売ってくれたのよ。私はその夢を大事にしたいの。」

太陽を盗んだ男 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ショウゲート
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出演: 沢田研二, 菅原文太, 池上季実子, 北村和夫, 神山繁
監督: 長谷川和彦

物語:孤高の中学教師が原子力発電所からプルトニウムを盗み出し、自室で原爆を作り上げる。手始めに警察にTVのプロ野球実況放送を最後まで観させろと要求する。さらにラジオ放送で世界で原爆を持った国の9番目の男「ナイン」と称し、聴衆に政府に要求を出させる。そしてローリング・ストーンズの日本公演を要求し、自ら金の要求をするのようになるのだが…。

こんなときにと、ムシャクシャしてるときに観ようと思っていた作品。反体制側を描くには映画までだろうが、政府に対して一人で作った原爆で脅迫するという反骨性溢れる娯楽映画。皇居前のバスジャック、デパートの封鎖、カーチェイスなど邦画の中ではスペクタクルさえ感じた。沢田研二扮する理科の先生は普遍的な毎日に嫌気し、原爆を作り上げるのだが、その孤高のトッポイ、キレた役にジュリーがピッタリすぎる。菅原文太さんは硬派な刑事を演じているが、ちょっと力み過ぎな印象を持った。やはり撮影とか演出が素晴らしいと思える作品だが、アクションの見せ場がちょっと残念。迫力はあるけどそれでいいのかと思った。

原発もプルトニウムが盗まれたら隠ぺいするんだろうなと思っていたが、映画はそれに応えてさらには原爆を作った男の存在さえ認めない。原爆の存在とそれを利用する人たちの駆け引きも、より原爆の存在を考えさせられる。原爆の製造過程も観ていて興味をそそられる。
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『秋津温泉』(62年・松竹大船) [映画(11年~)]

私たちの出会いはあの暗い時代だった。
秋津…
その山深い温泉場に貴女はいた。
貴女の見事に健康な美しさが、私に生きることを教えてくれた。

秋津温泉 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • メディア: DVD



出演: 岡田茉莉子, 長門裕之, 芳村真理, 日高澄子, 清川虹子
監督: 吉田喜重

物語:戦争末期の昭和20年夏。暗い時代と結核の重い症状から自殺願望を持つ青年が、岡山の山奥にある温泉宿「秋津荘」の娘と知り合う。介抱されることから次第に生きる気力と娘に愛情を持つようになるのだが、時代が流れるにつれて純情だった娘は秋津荘の経営が悪化すると一緒に無気力な中年へと変貌していく。戦中戦後の男女の悲恋を17年に渡って描く大作。

藤原審爾原作の「秋津温泉」を映画化。岡田茉莉子の映画出演100本記念映画だそうで、言うことなしの絶世の美人で若い娘役から30代の女将までを熱演。今年5月に亡くなった長門裕之が病弱で自殺願望持ちの文学青年で出演している。病気の症状が改善すると酒びたりのダメ男になるが新子(岡田茉莉子役)は彼のどこに惚れたのかは分からない。
脇を固める豪華助演俳優にも注目。
物語的に文学的な香りが十分する作品で、映画が作られた年からもう半世紀前になる作品。日本の美しい四季がとても印象的で山奥の純和風の温泉宿の佇まいや、室内の雰囲気も美しい。岡田茉莉子の和服姿に惚れ惚れするほどの清楚な色っぽさが感じる。男女を引き裂いたのは時代というわけではなく、男は秋津を数年に一度静養に訪れ、世俗と離れる為に女と付き合い、女は秋津に宿の女将として生活の糧を見出していく。何が二人を引き裂いたのかは分からない。男が年を取るにつれて社会的にも成功し、女が堕落してしまうことから亀裂が生まれたのだろうか。

吉田喜重の演出にも注目。和室の障子戸の境、タバコや酒を飲むシーンなど印象的。林光の音楽もまたいい。
http://youtu.be/2pQkQffP69U
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『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(08年・米) [映画(11年~)]

「お前は俺の兄弟だ…。」

トロピック・サンダー/史上最低の作戦 ディレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD



物語よりまずは出演俳優の豪華さだろ~この映画。

出演: ベン・スティラー, ジャック・ブラック, ロバート・ダウニー・Jr., ニック・ノルティ, マシュー・マコノヒー
ほか豪華出演にトム・クルーズ?

物語:ベトナム戦争モノを撮影中のイギリス人監督がやる気のない俳優たちにリアルな戦争を体験してこいとばかりにジャングルの中に俳優を置き去りにするところから武装ゲリラに見つかってまさにリアルな戦争が始まる。

戦争映画のパロディネタに人種差別ネタから下品な言葉が飛び交うぶっ飛んだブラックコメディ映画。しかしナンセンスではなくて飽くまで筋の通った展開で、冒頭の嘘劇場映画予告で出演俳優の過去が明らかになる。(ディレクターズカットってここのシーンかな?制作はドリームワークスでマークより最初に出てくる。)その中でトビー・マグワイアとロバート・ダウニー・Jrの僧侶の禁断の愛って映画なんなの…。変に豪華俳優がチョイ役で出演してておかしい。それにトム・クルーズの怪演はラストで明らかになる。ロバート・ダウニー・Jrもオーストラリア人で肌を黒くして黒人役で出演する俳優の役やってるし。過激でブラックな笑いがブラック過ぎて笑えない所もあったし不快に思う人もいるかと思う。
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