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『コララインとボタンの魔女』(10年・米) [映画(11年~)]

「あんたはママじゃない。だってこんなところに…ボ…ボボボ…」
「ボタンのこと?」

コララインとボタンの魔女 スペシャル・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD


物語:殺風景な土地にあるピンクパレスという古いアパートに引っ越してきた両親と11歳の少女、コラライン。住み始めた頃から部屋の不可解な物に疑問を抱いていたが、ある日、壁紙で閉ざされた小さなドアを見つけ、そこを潜ってみると部屋の造りは同じだが全てが綺麗な世界が広がっていた。しかしその中にいた家族は皆ボタンの目をした不気味な人たちだった。

この作品の凄さはフルCGでないストップモーションアニメという事。それのどこが凄いというのか分からない人の為に、まず登場キャラの顔の輪郭や目が動くということに注目してほしい。私は映像制作の現場マガジン「映像+」(グラフィック社)の8号を持っているのだが、それに撮影の詳細が紹介されてある。
まず目は瞬きをするし、顔の輪郭もあごと一緒に動くこと。これはマグネットを利用したストップモーションアニメの限界に挑んだ緻密な表現の仕方。それまでクレイ(粘土)アニメのように簡単な表情に動きで演技させていたのに対して目、眉、口の動きに対応できるアニメになった。セリフを合わせる為に1コマ1コマ顔の輪郭を変えているのである。
特に海外のアニメーションは口の動きを特に注意深く合わせようとするのが普通とされている。ディズニーアニメの場合、俳優が実写で演じてアニメーターがその動きを忠実に再現しようとする。これだと実写と同じ1秒24コマのアニメ動画をつくっていることになるが、これはセル画の場合。ストップモーションアニメで人形を使ってこれを再現したというのはすごいことなのだ。(日本のテレビアニメの場合、極端にコマを減らして1秒8コマで動く。)

秒間24コマの動きに口、髪のなびき、服のしわの表現まで再現されてあるのだからどれだけ大変なことか。

さてこの監督は『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(凄くお勧め)の監督であるヘンリー・セリック。『ナイトメア~』では愉快なハロウィンのお化けたちが暮らすダークな世界を描いた。こちらもドアの向こうは全てが綺麗な魔法の世界だが、人が皆ボタンの目をした不気味な世界。この不気味な世界にこだわる監督の粋といったら惚れ惚れする。裁縫道具という個人的私物を秘めたアイテムの使い方や背景の美術の数々に観ていて唸る。映画のタイトルクレジットの最後で1カット合成前の映像が流れるが、その緻密さに驚いた。

海外アニメなので日本語吹き替かオリジナル音声で観るか迷うところ。私は吹替えで観ました。
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