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『証人の椅子』(65年・大映) [映画(12年~)]

「検察組言いよったわ。まるでヤクザや。」

証人の椅子 [VHS]

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  • 出版社/メーカー: 大映
  • メディア: VHS


徳島ラジオ商殺人事件を描いた開高建の小説『片隅の迷路』を山本薩夫が映画化。ありきたりな強盗殺人事件が検察の圧力によって簡単に犯人に仕立て上げられる冤罪の恐怖を描く。

事件が起きてから現場の状況、目撃者の証言などから犯人は殺害された夫の妻だと裁判が行わる。実は警察の捜査の行き詰まりから検察が証人を誘導尋問して証言を捏造し、犯人をでっち上げていた。一度は有罪判決が下った後で新たな容疑者の登場と証人の供述調書の実態が明るみになったことで事件は新たな展開を見せる。

有罪が確定するまでのプロセスと事件の概要をうまくまとめた作風で、最初のメインタイトルから目が離せられない。(クレジットタイトルは映画のラストで出る。)食い違いを見せる証言に新たな証言で事件の推理は混乱する。逮捕された妻の義理の弟が音信不通の証人を探しては証言の矛盾を一つ一つ解決していく。

怖いのは検察のエリートが捜査線に浮上した身内犯行説を信じて独走し、証人の証言を捻じ曲げ、あたかも犯人だと言わせる怖さ。人の弱い所にズカズカと入り、事実関係まで曲げさせる。そして犯人とされた妻でさえ、経済的負担から再審も出すことができず、裁判の有罪判決を不服としながらも身内だけで無罪だと信じてくれればいいと言わせる怖さ。
組織立った検察の権力。ラストに解放感はない。後味の悪さが見た後も尾を引いている。
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『レバノン』(09年・イスラエル、独、仏) [映画(12年~)]

人間は鋼であり、戦車は鉄にすぎない。

レバノン [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • メディア: DVD


ヴェネチア映画祭2009年金獅子賞受賞作
http://www.youtube.com/watch?v=TfM5NDhV6hk
内容
1982年6月6日深夜、イスラエル軍戦車に搭乗した4人は作戦を聞かされた後、歩兵部隊と一緒にレバノンの侵攻作戦に参加。戦車の外では一般市民を巻き込む市街戦が繰り広げられる。

戦争映画の中で潜水艦ドラマという乗組員たちの葛藤や音を利用した感覚的なアクションが一つのジャンルとして定着しているが、本作は戦車の中を舞台にしたある意味新しい戦争映画。戦車部隊を描いた作品は他にもあるだろうが、戦車の中からは一歩も外に出ないというスタンスは崩さない。戦車のスコープから外の戦闘を見るという緊張感から搭乗員の心理的ストレスをより実感する。戦争映画としてはものすごく地味。

搭乗員たちの戦闘に対する躊躇が見え隠れするシーンが多い。要領悪く撃っていいかで迷い、戦闘に巻き込まれた民間人の戦車に対する険悪な目を見る。レバノン戦争の概要をよく理解してから観ないといけなかったのか映画の中でも戦争の原因さえ搭乗員は知らない者もいる。ファランヘ党員(レバノンのキリスト教極右派)の誘導に懐疑的な歩兵部隊の隊長と乗組員は司令部からの信用しろの命令さえ疑問に思う。

カメラの手ブレによる戦場をリアルに描いた作品も多いと思うが、色々疑問に思った所をまとめてみた。
歩兵部隊の隊長が戦車の中にまでやってきて説教する
そもそも戦車一台に歩兵という部隊構成は現実的なのか?
戦車の指揮官の言うことを聞かない装填員、
手ブレに見えなくもない照準の挙動、
友軍の戦死者や捕虜を戦車内に入れたり、
搭乗員はハッチから顔を出すことも戦車の外に全く出ない。
戦車砲の弾の装てんシーンがない。など

これはリアルなのか?と疑いたくなるシーンも多いが、監督は実際の戦争に参加しているという、まあそこは映画だ。ラストでようやくセンチュリオン戦車だとわかった。
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『縞模様のパジャマの少年』(09年・米) [映画(12年~)]

「いいユダヤ人もいるんでしょ?」
「もし君がいいユダヤ人に出会ったなら、それこそ世界一の探検家だ。」

縞模様のパジャマの少年 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



内容
ユダヤ人の迫害が続くベルリンから田舎の一軒家に引っ越してきた軍人家族。家の外には一歩も外に出られない中で、少年は窓から見える農家のような建物を見つけるが、両親はそのことを何も話してはくれなかった。退屈していた少年は閉ざされた納屋の窓から外に出てその農家のような建物に行ってみるが、周りを高いフェンスで囲まれた異様な場所だった。その内側に、同じ年くらいの縞模様の服を着た少年を見つける。

ポーランド旅行前に観たかった作品ですが、内容はさほど史実に忠実だとか固い映画ではなかった。むしろ童話のような柔らかさといいますか、子供の純な視線がずっと続く。『ライフ・イズ・ビューティフル』は大人からの視点を描いていたが、こちらは子供主体で大人は控え程度だった。良くも悪くもホロコーストを描いた作品。原作者はまだ若い人のようだ。

映画の中では収容所の中を健全的に描いた偽のドキュメンタリーを管轄外の軍人に見せるというシーンがあるが、これはホロコーストが極秘に行われていたという、収容所所長の家族もまた収容所の実態を知らなかったという事実を元に描かれている。映画は全編英語です。
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『ペルシャ猫を誰も知らない』(09年・イラン) [映画(12年~)]

いつだって、音楽は自由への翼なんだ。

ペルシャ猫を誰も知らない [DVD]

ペルシャ猫を誰も知らない [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



http://persian-neko.com/

内容
西欧文化の規制が厳しいイラン。自由な音楽活動をしたいが為、偽造パスポートを作成して国外へ逃亡を図りたいアシュトンとガールフレンドのネガル。出国前に友人や家族の為に自分たちのインディー・ロックを聴かせてやりたいと、バンド結成を試みるのだが、無許可コンサートへの開催には数々の難問が立ちふさがる。

以外と知られていないがイランは映画大国で国内で制作される数は娯楽作も含めて多い。イラン革命後は西洋文化の禁止から作風は激しく制限されることになる。バフマン・ゴバディ監督は本作を最後にイランから離れたという。厳格なイスラム教国を連想するイランという国からは考えられない西欧文化的音楽の数々に驚いた。歌う曲も英語だったり、ペルシャ語のへヴィメタ、ラップ、ワールドミュージックなど多種に及ぶ。活動中の音楽家たちも自由を求めて国を出たがる人もいれば、現地に残って地道な音楽活動を続ける者などアンダーグラウンドの世界を垣間見る。個人の苦労が垣間見られるが手作りによるコンサート開催への道は観ていて楽しい。狭いながらも自由そのものだった。

全編無許可撮影による荒々しい撮影なのだが、生のイランという国が分かってくる。西洋文化の流入に規制をかけているとは言いつつも女性はスカーフから髪を出していることも、若者はバイクで遊んだりしている事もある。

映画の中ではナデルという便利屋(二人の音楽性を気に入り、国外逃亡へ手助けする。)が出てくるのだが、警察に捕まった時に恩赦を得る為に口八丁で減罪を試みるシーンでは「コーランに誓って嘘は言いません。」とかなり無茶苦茶な事を言う。ナデルの乗るバイクは250cc相当のもの(メーカーまでは分からない)だと思うが映画の登場シーンは多く、狭い路地や道路を走っている姿も壮快でまた自由への表現ではないかなと思った。(ノーヘルは3人乗りは当たり前)。
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『乱暴者(あばれもの)』(53年・米) [映画(12年~)]

「ジョニー!待ってたぜ!」

乱暴者(あばれもの) [DVD]

乱暴者(あばれもの) [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



物語:アメリカで実際に起こった事件をベースに映画化。集団で暴走行為を繰り返すバイクチーム「BRMC」(Black Rebel Motorcycle Club暗黒の反逆者)が寂れた地方の街へやって来た。チームのリーダー格のジョニーはバーのホステス、キャシーに恋心を抱くがうまく相手にできない。やりたい放題の集団に住民の一部が怒りをあらわにするが、そんな中、別の暴走チームがやってきてBRMCと喧嘩になる。より一層敵愾心を抱く地元住人。そして夜にキャシーがジョニーに襲われていると勘違いした住民の通報により、市民の怒りが爆発。ジョニーへの集団リンチが開始されるのだが…。

言わずと知れたアウトローの代名詞(?)ジョニーことマーロン・ブランドの個性が強調されたアンチヒーローの金字塔。有名作なのにようやく見れました。暴力的で不器用でナイーブな一面を見せる若い頃のマーロン・ブランド、当時の若者の社会に対する不満を代弁したという。今も高い支持を得ている。

実際の事件を元にした映画ということから、当時のバイカーに対する社会的偏見が色々出された映画じゃないでしょうか。英題は『THE WILD ONE』(こっちの方が有名かも)。1920年代からモータリゼーションが発展していったアメリカは自動車の天国で、それまで使われていた馬車が車へと変化していきました。そんな中、快適性とは程遠いバイクの存在が一部の反社会的集団の足に使われていたことから当時のバイカーに対する偏見といえば「酒に酔っ払って暴走してはいつも喧嘩ばかりするアウトロー」というような目で見られていました。さらにこの映画の登場で俗世間からはバイカーがいたらこんな目で見られていたのです。で、1959年になって日本のHONDAが北米でCUBを販売開始、どんどん売上をのばしてそのイメージを払拭していったわけです。

バイク乗りならうれしい所満載です。登場するバイクはジョニーがトライアンフサンダーバード6Tでイギリス製。他ハーレー、BSA、ノートンなど当時の現行機種。今ならビンテージ物、マニアなら垂涎ものです。疾走シーンでは観ていてヒヤヒヤする所が多いです。コースから外れそうだったりこけそうな所が多い。

ジョニーのスタイルは当時の労働者が被っていたようなキャスケット。走行シーンではティアドロップのサングラス。ダブルのレザージャケットは首元まできっちりジッパーを上げ、後には海賊旗をもじったドクロ、骨の代わりにピストンのシルエットをクロスさせてその上にはBRMCのステッチ。黒のレザーグローブ、ジーンズのロールアップ、エンジニアブーツ。チームの全員も黒のレザージャケットという共通点以外は個性的なジャケットを着てます。
で敵対関係のチノ扮するリー・マービンがレザーのベストにボーダーのロングT-シャツ、ジーパンというスタイル。チームの他のメンバーはフライトジャケットや軍物をジャケットに着こなしていました。

ファッションに関することならこのページが詳しいかも。
http://www.hakuraido.com/hakuraido_01/rockers/newpage1.html

ジョニーのしぐさも注目。バーに入ってからのキャシーとのちょっかいのやりとりはいかにもという感じだ。

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