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『午後の遺言状』(95年・近代映画協会) [映画(09年~)]

「この石、貰ってくわ。」

午後の遺言状 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • メディア: DVD


監督: 新藤兼人
出演: 杉村春子, 乙羽信子, 朝霧鏡子, 倍賞美津子

蓼科高原の山荘に今年も老女優、蓉子(杉村春子)が避暑のためにやってくる。山荘の管理人で身の回りの世話を任される豊子(乙羽信子)は何十年来の友人だが、彼女の22歳になる一人娘が実は蓉子の亡き夫との間にできた娘だと告白する。

杉村春子、乙羽信子の二大女優の競演、またこの作品を最後に二人の遺作となってしまった。新藤兼人が『老い』をテーマに、迎えるであろう死をどう考え、どう生きていくかの「老人たちの行く末」を描いていると思う。老人性痴呆症にかかった旧友の女優(朝霧鏡子)夫妻の再会が感動的に描かれている。杉村春子と乙羽信子の会話は何年もの時を得たように慣れた口調で、ユーモアがある。

突然の老人を無差別に襲った犯罪者の登場や、金一封を送る警察など風変わりなエピソードが新藤兼人らしい。遺書は何の紙で、文面はどうしたらいい?老人ホームは公立か個人経営かなど、死んだ時のことを考えては自分の死に対して関心が止まないのは理解できる。死に対する考えの違いや、他人に迷惑をかけないかけたくないという考えにも同情する。

無二の親友である二人の突然の葛藤も、「老い」が自然とやわらかくまとめてくれる。

年をとっても女優はさすが、杉村春子(95年当時86歳!乙羽は71歳だった)と乙羽信子のベテランっぷりがすごい。この二人なくしては映画はできなかっただろう。
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